今日の日記

2003年9月30日
Das Experiment(es)

久しぶりに怖い映画を見た。怖いというのは別にホラーみたいな怖さというわけではなく、もっと生々しく現実的な怖さである。1971年に米スタンフォード大学で実際試みられた実験をベースにした映画。被験者は囚人役と看守役に分けられ、監視カメラつきの模擬刑務所に入れられる。そしていくつかのルールに従いながら二週間過ごすというもの。実際実験は七日間で中止、今も訴訟問題に揺れるアメリカではそのリアルさゆえ、映画の公開さえ中止されているらしい。
最初は展開がなく眠かったのだが、模擬刑務所に入ってからというもの、思わず見入ってしまった。人間という生き物は本当に恐ろしい生き物ということが分かる。一見弱弱しい看守べレスは実験を通じて次第に暴走していく。明らかに自分の体臭にコンプレックスを抱いておりそれが屈折した形で囚人への冷酷な仕打ちに変わっていく。それに便乗するにせプレスリーの看守エカート。意外と小心者。自分の良心と格闘してべレスについていけない者も現れる。
一方主人公囚人Nr. 77タレク。ランローラランにも主演したモーリッツ・ブライブトロイが演じている。記者役で最初は周りを煽動して面白いネタをとろうとするが、だんだんとお遊びではすまされない深刻な事態に。軍人のNr. 38シュタインホフ。渋いし強いし実は正義感のあるいい人。キムタク主演ドラマのHEROに出てたバーの店長に似てる。Nr. 82シュッテ。おしゃべりながら孤独な男。悲しい運命に。大体囚人をナンバーでしか呼んじゃいけないとこからして異常だ。
とにかくこんなに短期間で人間はかくも残酷になってしまうのかと思うと恐ろしく、こんな実験を考えること自体がすでに狂気じみてる。現代の奴隷制を見るようで一見の価値あり。おすすめ。

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